宇部かまのかまぼこづくりには、「焼き抜き」といわれる山口県独自の伝統手法が大切に受け継がれています。
この手法の特徴は、新鮮な魚のすり身をかまぼこ板に盛りつけ、板の真下から間接的に焼きぬくこと。
表面に直接火をあてないため、蒲鉾の肌は雪のように白く焼きあがります。
このしわは加熱で膨張したかまぼこの表面が冷えて縮むためにできるもので、しわがきめ細かく均等に入っているほど、材料が充分に練られ、歯ごたえに直結する弾力(「足(あし)」)を持っている証拠。
職人さんがかまぼこの見た目を重視するのには、れっきとした理由があるのです。
技術の進歩で、昔は炭火を用いた「焼き」の工程は赤外線ランプに変わっていますが、焼き抜きかまぼこにいいシワをつくり宇部かまの心意気はますます盛んです。
宇部かまの焼き抜きかまぼこ「嶺雪(みねゆき)」は「焼き抜き」にこだわり、板の下からじっくりと炙り焼き上げ、魚の持つ本来の旨味を一杯に引き出しています。
また、同じく「蒲さし(かまさし)」は他のかまぼこに類をみないこんもりと高い山形で、刺身のようなしなやかな歯ごたえと上品な味わいです。
焼き抜き製法と宇部かまの匠の技、そして自然の恵みがとけあったもの、それが宇部かまのかまぼこです。
宇部かまが磨いてきたかまぼこづくりの手法は焼き抜きだけではありません。
板や藁に調合したすり身を盛り付けた後、蒸し上げる「蒸し」の技術を活かした分野でも名品を生み出しています。
「新川(しんせん)」はその代表的な製品。
蒸気でやさしくていねいに蒸し上げると、焼き抜きとは明らかに違うしっとりとした上品な味わいが演出できます。
技法の多彩さも練り製品ファンの心をつかんで離さない理由のひとつです。
「銀雪(ぎんせつ)」真空レトルト加熱によって、常温でも60日間品質保証の密封かまぼこです。魚の旨味と瑞々しさを閉じ込めています。
また、宇部かまの「焼き」の技術はちくわづくりにも駆使されています。ちくわは焼き抜きと違い直接炙り焼くのですが、味わっていただきたいのは何といっても焼き風味。
「極一ちくわ(ごくいちちくわ)」には上質なすり身を素材に、丹念に焼き上げた逸品です。
濃厚な潮の香が漂うようで、まさに海からの贈り物です。